Q ダイエットでは、どれくらい糖質を制限すべきでしょうか?

Q. ダイエットでは、どれくらい糖質を制限すべきでしょうか?

A. 『どの程度の糖質制限が正解か?』というものは、まだ議論の余地があり、完全な正解というのは出ていません。

正解は出ていないものの、データは出ています。


まずは狩猟採集民の食事のバランスを見てみましょう。


次は平均的なアメリカ人の食事のバランスを見てみましょう。


次は平均的な日本人の食事のバランスを見てみましょう。

狩猟採集民と比べると脂肪の量はそれ程変わらないですが、タンパク質が少な目で、炭水化物 (糖質) が多いのが目につきます。




日本人はお米を食べるのに向いている?

よく議論の題材に出てくるのが「日本人は昔はもっとお米をたくさん食べていた。それが欧米化してからおかしくなった」「もともと日本人は農耕民族なのだ」というのがあります。

『欧米の人と比べると、日本人やアジア人の方が穀類を消化しやすい酵素がある』『穀類を消化しやすい胃腸をしている※』などの意見です。 

これはどのように考えたらよいのでしょうか?


日本で稲作が広まったのは約2000年~3000年ほど前からと言われています。(研究によって前後します)

その前は日本列島で狩猟採集をしていた訳です。

日本人も200000年前にはアフリカにいて、35000年前に日本列島のあたりにたどり着きました。

日本列島にたどり着いてから『日本人』というものが急に生じたのではなく、それまでの蓄積が体の中 遺伝子の中に入っています。

遺伝子は少しづつマイナーチェンジをしていくので、アフリカからヨーロッパにたどり着いた人は肌が白くなり、暑い所にいた人は黒くなる、というような変化はおこります。

「私達のご先祖様はこういうものを食べていたから、これが正解なんだ」と考える前に、その『ご先祖様』をどこの時点とするかが重要です。

なぜなら、私達は これまでの全ての環境の影響をうけて、少しずつ変化した遺伝子の集合体 で出来ているからです。

もっというと、農業を数千年やってきたから完全に農業に適応しているか、というとそうではありません。

農業に適応している部分もあるし (乳糖不耐性にゅうとうふたいせいが多い、欧米人よりは米を消化しやすい)、元々の狩猟生活に適応している部分 (良質な肉・魚・多種の野菜・クルミなどの木の実・キノコ類などで健康になる) もあるのです。

私達の遺伝子は、ゆっくりとしか変化できない (微生物のように世代交代がそれ程早くない) ので、数億年かけて現生人類 (ホモサピエンス) として基本が完成して以来、その後の20万年はマイナーチェンジしかしていないという事実も考慮しなければなりません。

(さらにその後の19万年以上は、狩猟採集生活に適したマイナーチェンジがおこなわれています。近々の数千年ではマイナーチェンジの幅も限定的となります)


食事のメニューを考える時は、各個人それぞれにある食物アレルギー問題なども気にする必要があります。

『どの程度の糖質制限が正解か?』『どの割合で糖質を食べるのが正解か?』という問いの議論は、まだ続きそうです。








消化しやすい胃腸をしている……『胃などの形が消化に有利』というのはあるかもしれません。 『腸が長い』というのは誤りなようです ※1 ※2