Q 農民は狩猟民より病気になりやすいのですか?

Q. 農民は狩猟民より病気になりやすいのですか?

A. なりやすいです。

『結核も、ハンセン病も、梅毒も、ペストも、天然痘も、インフルエンザも、みな農業の創始とともに流行りだしたものである』 ‐‐人体六〇〇年史 科学が明かす進化・健康・疾病



上記に書いたリーバーマン博士の本にあるように、色々な流行り病は農業の始まりとともに生じたようです(※)

私達の漠然ばくぜんとしたイメージでは、狩猟採集時代の方が土や泥にまみれていて不潔な感じがします。

農村が清潔とは言わないけど、狩猟採集時代のわらの小屋よりはマシなイメージです。

しかし、イメージと現実の衛生度合いは違います。

農業が始まり人間がたくさん集まって住みだすと、病気が感染しやすくなるのです。






実際の衛生度

狩猟採集の時代は、一つの山に人間が数家族しか住んでいないことも多く、そもそも病気をうつすほど人と人が会わないのです。


さらにトイレの問題もあります。 狩猟採集の生活だと便や尿は直接木々の中へ 自然の中へと返っていきます。

農村が大きくなるとどうしても住居の周辺に便や尿が堆積たいせきすることとなり、そこからも病気が発生しやすくなります。


栄養状態の問題もあります。農業はカロリーは豊富ですが栄養素が乏しくなりがちです。

それに引き換え狩猟採集では余分なカロリーを蓄えづらくはあるのですが、栄養素はしっかりと取れます。

栄養素がしっかり取れているということは、いつもバランスの取れたビタミン・ミネラルなども充分に体にあるということです。それは免疫がしっかりと働くことを意味します。


このように農業の発達とともに病気は増え、それを劇的に減らせるようになるのは産業革命後の西洋医学を待つことになります。






色々な流行り病……チフス・ジフテリア・はしか・黄熱病・デング熱・フィラリア症・脳炎・マラリアなど多くの感染症が、農業とともに大流行した。